譲渡所得

資産の中で譲渡所得の対象に含まれるものの課税方法について教えてください。

譲渡所得の課税対象に含まれる資産には、売掛金や貸付金などの金銭債権以外のもので、ゴルフ会員権、取引慣行がある借家権、特定の公社債、漁業権、土地、建物、借地権、宝石、骨とう、機械器具、株式等、金地金、書画、船舶、鉱業権、著作権、特許権、土石などが入ります。
この「譲渡」とは、有償無償に関わらず、所有している資産を移転させる一切の行為のことですが、一般の売買以外にも、公売、競売、財産分与、交換、代物弁済、法人に対する現物出資、収用なども入ります。なお、以下のようなケースも譲渡があったという扱いになります。
1. 限定承認で相続する場合や法人に対して資産の贈与をした場合:以下の(1)、(2)のような理由で資産の移転があった場合は、時価で資産の譲渡が行われたものになり、課税対象になります。
(1)限定承認の包括遺贈や限定承認の相続:個人に対するものに限定
(2)法人に対する遺贈や贈与の中で、時価の50%を超えない価額で譲渡を行った場合
2.賃借権や地上権、地役権の設定により権利金などを貰うことになった場合:構築物や建物の所有が目的であるための賃借権や地上権の設定などで受け取る権利金などに関しても、その額数が借地権の設定がされた土地の時価の50%以上である場合、譲渡所得の課税対象になります。
3.資産の消滅によって補償金などを貰った場合:収用などで、漁業権や借地権などの資産の価値が減少したり、消滅したりすることで一時に補償金などを受け取った場合は、その補償金などに対して譲渡所得として賦課されることになります。

この反面、所得税の課税対象にならない譲渡所得もあります。以下の通りのケースです。
1.生活用資産を譲渡することによって得た所得:じゅう器、衣服、家具、通勤用の自動車などの普通の生活に必要な動産を譲渡することによる所得です。ただし、一個や一組の価額が300,000円以上であるもので、骨董や宝石、貴金属、書画の譲渡による所得は課税対象になります。
2.強制換価手続によって資産が競売されたことによる所得:資本力を失って債務の弁済が大変難しくなった場合、
(1)強制換価手続の執行をせざるを得ないと認められる場合での資産の譲渡による所得
(2)強制換価手続によって資産の譲渡したことで得た所得
で、その譲渡代金の全額が債務の弁済に補充されたものです。
3.公社債などを譲渡することによる所得:公社債や貸付信託、公社債投資信託の受益権の譲渡での所得に関しては、以下の公社債の譲渡所得以外は課税対象になりません。
(1)国外発行の割引会社債を国内で譲渡を行ったことによる所得
(2)利付公社債の中で、以下のどちらかの場合に該当するものを国内で譲渡を行ったことによる所得
a.利子の利率が大幅に低いものとして財務省令で決められているもの
b.元本に関わる部分と利子に関わる部分が部分ごとに則率して取引が行われるもの
c.その利子の利率の中で、一番高い利率と一番低い利率の1.5倍を超えるもの
d.利子を計算する期間が1年以上であるもの・1年以上の利子の計算期間があるもの
(3)利子が支払われない公社債の譲渡を行ったことによる所得
(4)国内で発行された一定の短期割引公社債の譲渡を行うことによる所得
(5)国内発行の割引公社債の中で、独立行政法人住宅金融支援機構、沖縄振興開発金融公庫、独立行政法人都市再生機構、旧住宅金融公庫、外国の国際機関や外国政府から発行されたものの譲渡による所得
(6)新株予約権付社債に関する社債の譲渡を行うことによる一定のもの
4.国などに対して重要文化財の譲渡をした場合:文化財保護法によって指定されている重要文化財を独立行政法人国立文化財機構、国、独立行政帆人国立美術館、地方公共団体、独立行政法人国立科学博物館に譲渡した場合は、譲渡所得としての課税対象になりません。
5.財産を相続税の物納に補充した場合の所得:その資産の譲渡が完全になかったものとされます。しかし、物納の許可限度額以上の価額の財産を物納に使った場合は、その以上の部分は譲渡所得として課税されます。
6.公益が目的である事業をする法人への財産の寄附や、国などに対して財産を寄附する場合の所得に関しては、そのことで国税庁長官の承認を得たら、寄附はなかったものとなり、課税対象になりません。

資産を譲渡することによる所得でも、以下の所得は譲渡所得ではなく、雑所得や山林所得、事業所得の課税対象となります。
1.不動産所得や雑所得、山林所得が発生する業務をしている人がその業務に関して下記4の棚卸資産に準じる資産の譲渡を行った場合の所得:雑所得
2.立木のまま譲渡した場合や山林を伐採して譲渡した場合の所得:山林所得(山林を取得して5年以内に立木のまま・伐採をして譲渡する場合の所得は、雑所得や事業所得になります)
3.取得価額が10万円を超えない減価償却資産、使用可能期間が1年に満たない減価償却資産、取得価額が20万円を超えない減価償却資産で、取得する時に「一括償却資産の必要経費算入」の定めの適用を貰ったものを譲渡した時の所得:事業所得や雑所得になります。
4.事業所得者が原材料、商品、仕掛品、製品、半製品などの棚卸資産を譲渡した時の所得:事業所得
5.1~4までの資産以外の資産相との期間に渡って、引き続けて譲渡している時の所得:事業所得や雑所得

こういった譲渡所得は、その譲渡資産の種類によって総合課税や分離課税の区分で課税されることになります。

土地や建物など、そして株式などの中で短期所有土地の譲渡であると考えられるものは分離課税(土地建物など)に含まれ、また、株式などの中でゴルフ会員権の譲渡に似ているものは総合課税、それ以外の株式などの譲渡は分離課税(株式など)になります。
2010年1月1日から譲渡される上場カバードワラント・店頭カバードワラントの場合は、分離課税(先物取引など)となり、その他の資産は総合課税になります。

分離課税の計算は、譲渡所得の金額に対する税額を、給与所得や事業所得などの他の所得とは分離して、租税特別措置法の定めによる税率で行われます。
総合課税の計算は、譲渡所得の金額を、給与所得・事業所得等の他の所得と合算して、所得税法の定めによる累進税率で行われます。

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